いろんな問題を引き起こすセロトニン不足。
そこで、セロトニンの効果的な摂取方法を調べてみました。
と言っても、セロトニンそのものを摂取しても、脳内セロトニンは増えないので、その辺のことも書いています。
セロトニンとは
うつ病の原因は、セロトニン不足。そんな話をよく聞きます。
実際、抗うつ薬には「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」があります。どんな効果がある薬なのか、簡単に説明すると次の通り。
セロトニンを出すところと受け取るところがあり、受け取るところに適度なフタをすることで、脳内セロトニン量を増やすような感じです。
※ 病気の原因は、諸説あります。
セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンが、5-ヒドロキシトリプトファンを経て変化したものです。
順番で見れば、「トリプトファン」→「5-ヒドロキシトリプトファン」→「セロトニン」といった具合。
必須アミノ酸は、タンパク質の合成に使われるアミノ酸で、体内で合成できないものになります。つまり、食事で摂らなくてはいけない栄養素。
タンパク質の合成というのは、細胞がタンパク質を作る過程のこと。
タンパク質と聞くと、栄養バランスガイドなどで、炭水化物や脂質と一緒に並ぶ三大栄養素というイメージが個人的には強いです。
タンパク質を摂取すれば、そのままタンパク質になっているような気になりますが、実際には「ペプトン→ポリペプチド(多数のアミノ酸)→アミノ酸→タンパク質」という工程になっているとか。
タンパク質という塊が、分解されてアミノ酸になり、また組み立てられてタンパク質になる。タンパク質という塊は、部位によって名称が違う。そんなイメージでしょうか。
セロトニンを増やすには
必須アミノ酸であるトリプトファンは、牛乳、バナナ、ナッツ、魚、卵、肉、大豆などに多く含まれています。特に魚卵が多い傾向にあります。
おそらく、バナナはイメージしているほど多くはないでしょうが、摂取しやすいのでピックアップしました。
基本的には食品中のタンパク質が多いほど多くなりますが、文部科学省の食品成分データベースで検索すると成分量がわかります。
脳内セロトニンが不足しているなら、その元となるトリプトファンを摂ろうとする人が多いのか、そういったサプリメントが幾つも販売されています。
トリプトファンじゃなく、セロトニンを摂れば早いんじゃないかと思う人もいるでしょうが、セロトニンそのものを取り込んでも、脳内で効果を発揮しません。
セロトニンは、血液脳関門を通ることができないからです。血液脳関門は、脳組織と血管の間にある物質の移動を妨げる障壁のこと。
これがないと、脳内の血管を血液が通る際、いろんな物質が脳組織に届き、大変なことになってしまいます。
ただ、脳組織に薬を届けようとしても、阻まれてしまうという一面も。この血液脳関門を通る物質であるインスリンの性質を利用した薬が開発されていますが、本題から逸れるので省略。
セロトニンが存在する場所は、消化管粘膜が90%、血小板が8%、脳内の中枢神経系が2%となっています。
大半が腸で生成されたセロトニンですが、これを増やしても脳内セロトニン不足の解消には繋がりません。
繰り返しますが、血液脳関門を通れないので、脳に作用することがないのです。
うつ病の原因とされるセロトニン不足は、脳内セロトニンの不足。であれば、脳幹で合成されるものを増やすしかない。
ということで、トリプトファンを摂取するのです。
-
-
【感想】オーケーフルーツの「ミックスナッツ」
オーケーフルーツの「ミックスナッツ」の感想です。 オーケーフルーツとは オーケーフルーツは、有限会社オージーコムが運営するショップの名前です。 大阪府大阪市にある2005年設立の会社で、主な事業はドラ ...
5-HTPサプリメント
トリプトファンがセロトニンに変化する際、5-ヒドロキシトリプトファンになっているので、この段階のものを摂取した方が早い。
5-ヒドロキシトリプトファンであれば、セロトニンと違って血液脳関門を通ることができるので、脳に作用することも可能。
ということで、「5-HTPサプリメント」を使っている人もいるでしょう。
ただ、「5-HTPサプリメント」は、胃腸の不快感や吐き気、頭痛、心臓の動悸といった副作用が確認されています。
脳内で化学物質が混ざる可能性もあるので、精神に作用する薬を使っている場合は、医師に相談する必要があるでしょう。
ビタミンB6で効果的に摂取
ビタミンB6は水溶性ビタミンに分類されるもので、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンがあります。これらは、体内でピリドキサールリン酸に変換され、トリプトファンからセロトニンを生成する際に使用されています。
逆に言えば、ビタミンB6が欠乏すると、生成に悪影響を及ぼすということ。
トリプトファンを摂取しても、セロトニンを満足に生成できないなら、セロトニン不足を解消したい人にとっては大問題。
なので、ビタミンB6を一緒に摂取するのが効果的と言われています。
ビタミンB6を補充できるサプリメントもありますが、肉や魚、牛乳、焼きのり、バナナなどにも多く含まれています。
肉は赤身、魚はマグロやカツオが良いようです。
トリプトファンも多く含まれていることを考えると、肉や魚がオススメ食材と書きたくなりますが、そうすると「動物性タンパク質に含まれるBCAAが、トリプトファンを取り込みにくくするからダメ」という反論が返ってくることでしょう。
「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」は、必須アミノ酸である「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」を指します。
脳内にアミノ酸が入るときには、トランスポーターが必要となるのですが、このBCAAとトリプトファンは同じトランスポーターを使います。
つまり、トランスポーターが競合するから「取り込みにくくなる」と言われています。
ただし、運動するなら話は別。
運動中はBCAAがエネルギー源として使用されるので、必然的にBCAAが不足してトリプトファンが取り込みやすくなります。
逆に、血中のトリプトファン濃度に対するBCAA濃度が低下すると、中枢性疲労が促進されると言われています。
中枢性疲労は、脳の疲労のこと。脳以外の身体的疲労は、末梢性疲労と言います。
この中枢性疲労のメカニズムの一つとして、脳内におけるセロトニンの生成が考えられているので、BCAAの不足も問題なのです。
BCAAには運動による筋タンパク質の分解を防ぐ役目もあるので、アスリートには高タンパク食が大事なのですが、高タンパク食だと脳内セロトニン量の増加に繋がらないとするラットの実験結果もあります。
※ あくまで、そういう説があるということ。トランスポーターに関しては、わかっていないことが少なくないとか……。
話をビタミンB6に戻します。
2015年版の日本人の食事摂取基準によれば、ビタミンB6の推奨量は18歳以上の男性で1.4mg、女性で1.2mgです。なお、これは食事性ビタミンB6の量ではなく、ピリドキシンとしての量になります。妊婦・授乳婦の付加量は別。
過剰摂取による健康被害も報告されていますので、耐容上限量を超えないようにした方がいいでしょう。
とはいえ、腎臓が健康な状態なら、うまく調整してくれるはず。不要なものは尿として出す感じで……。
運動とセロトニン
セロトニンの生成は、運動したり、好きな人と触れ合ったり、入浴時にリラックスすることで促せます。
運動は有酸素運動でも無酸素運動でも構いません。
好きな人と触れ合った場合は、セロトニンと一緒にオキシトシンも分泌されます。オキシトシンは「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と言われるもので、脳の疲れを癒して気分を安定させる効果があるそうです。
好きな人以外だと、ペットやぬいぐるみでも分泌されるとか。
それだけ聞くと、好きな人と触れ合う運動が効果的と言えますが、実行できない人も少なくないでしょう。
それに、恋愛の初期段階ではセロトニンの分泌が抑えられ、不安が強くなりやすい傾向にあるとも聞きます。なので、効果的だからと言って、意図的に誰かを好きになるようなことは、避けた方が無難かもしれません。
それよりも、セロトニンは不規則な生活だと出にくくなるので、規則正しい生活を心がけた方が効果的でしょう。
とはいえ、同じ生活リズムで過ごそうと、神経質になりすぎると辛くなります。自然な感じで生活リズムを整えるには、日の光を浴びるのが手っ取り早いので、そこから始めてもいいかもしれません。
目覚ましで起きるのではなく、日の光で目を覚ます感じです。
スマホでセットして自動でカーテンを開ける「めざましカーテン」というのも、ありますし。
-
-
【感想】アルインコのクロスバイク|室内で有酸素運動
アルインコのクロスバイク4417、型番で言うとAFB4417Xの感想になります。 購入経緯 室内で有酸素運動をしたいと思い、1万円ちょっとの予算で買えそうなものを探したところ、アルインコのクロスバイク ...
まとめ
まとめると、日の光で起きたら、肉・魚・バナナを食べて運動する。好きな人やペットと触れ合って、暗くなったら寝るみたいな感じになります。
栄養素をサプリメントで補充するのもいいでしょう。
※サプリと言っても、あくまで食品です。薬のように捉えるのは違うでしょう。
ただ、ビタミンB6の推奨量は、割とすぐに突破します。
ネイチャーメイドのマルチビタミン&ミネラルだと、1日の目安量2粒あたりビタミンB6が2mg。18歳以上の男性で1.4mg、女性で1.2mgという推奨量を超えます。
耐容上限量は、18~29歳の男性で55mg、女性で45mgなので、そこまで神経質になる必要もないでしょうが……。
とはいえ、あまり摂りすぎても困るというもの。
そこで、トリプトファンとビタミンB6を同時に摂取できるサプリメントを、摂取量付きでピックアップしてみました。
Source Naturals L-Tryptophan with B-6(ビタミンB6:20mg、トリプトファン:1,000mg/1粒摂取時)
ディアナチュラ 29 アミノ マルチビタミン&ミネラル(ビタミンB6:1mg、トリプトファン:10.5mg/1日3粒摂取時)
ネムリス(ビタミンB6:9mg、トリプトファン:70mg/1回6粒摂取時)
リラクミンクリア(ビタミンB6:3mg、トリプトファン:60mg/1回の目安3粒摂取時)
※リラクミンクリアは、セロトニン対策ハーブとして有名なセントジョーンズワートを使用しています。セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、薬によっては摂取しないよう促されていますので、ご注意ください。
-
-
脳由来神経栄養因子(BDNF)の増やし方|脳の病気との関係
「モノアミン仮説」について調べたページで、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」の不足によって、神経が成長できずにモノアミンが減るという説を取り上げました。 モノアミンは、ドーパミン、ノルアドレナリン、ア ...
-
-
うつ病で働けない人を支援する制度と現実
うつ病になって退職した後、この先の収入について悩みました。 まともに働けない状態なのは、自分でよくわかっていましたし、経済的な余裕もなかったです。 何か良い対処方法はないかと探したところ、自分のような ...
-
-
無料の電話相談|こころの病気を相談できる番号一覧
こころの病気に関して、無料で相談できる電話番号です。 身近に相談できそうな人がいればいいですが、そうでない人も多いのではないかと思い、まとめてみました。 なお、無料の基準は登録料などが不要であることに ...
-
-
就労移行支援のまとめ|事業所による違い
幾つか、就労移行支援事業所を調べたので、それをまとめたページになります。 今後、新たに調べた事業所を追加したり、加筆・修正する可能性があります。 就労移行支援とは 端的に言えば、就労移行支援は一般就労 ...
-
-
障害者向け就職・転職サイトのまとめ|無料で利用できる理由
幾つか、障害者向け就職・転職サイトを調べたので、それをまとめたページになります。 今後、新たに調べたサイトを追加したり、加筆・修正する可能性があります。 障害者向け就職・転職サイトとは 基本的には、障 ...